人は病気になってしまうと入院が必要となることがあります。
入院すると、検査や治療、教育のために病院に寝泊まりして医療者の管理のもと過ごしていただきます。
病気の状態が安定したり、病気が進行してしまって治療が難しくなった場合には、「病院でなければできないという治療がない」状態となることがあります。
例えば、「心臓が悪化した心不全という状態だけれども、症状は安定していて、行うことといえば朝晩薬を飲んで、塩分の管理された食事をして毎日体重を測っている」とか、「進行がんになってしまって手術、抗がん剤、放射線などの治療は難しく、痛み止めの内服治療だけをしている」など、薬を飲むなど自宅でもできる治療だけをしているときには、入院は必要ではない場合もあります。
在宅ケアを利用するという選択肢
「状態の悪化が心配」とか「病気で不安だから。」などの理由で入院しているかたもいらっしゃいますが、その中には「在宅ケア」を利用することでご自宅や老人ホームに帰ることができる方もいらっしゃいます。
病院に入院していると他人との共同生活ですから、行動に様々な制約が出てきて、気持ちが落ち着かなかったり、不便を感じたりすることがあると思います。自宅で療養できれば、そういったストレスからは開放されます。
病気を抱えて自宅で過ごすというのは、一般の方々にとっては大きな不安が募ることだと思います。その不安を解消するために在宅医療に取り組む医療関係者、介護関係者は多職種で協同して治療を受ける方、そのご家族の不安を解消しながら自宅や老人ホームでの生活を支えるように工夫をこらしています。
また、がんが進行して余命が厳しい方で、入院したくないという方はご自宅から黄泉の旅に出る、「在宅看取り」を選択される方やそのご家族もいらっしゃいます。在宅ケアにはそういった看取りも含んでいます。
病気の状態や治療の内容が落ち着いたら、食事や排泄、移動などのお世話は医療と介護が連携してご自宅や介護施設でもお手伝いできることほとんどです。もしご相談したいと思われたら、各入院施設の医療相談窓口にご相談ください。
「必ずしも入院が必要のない状態の方が自宅や介護施設で療養できるために多職種で療養生活を支える仕組み」 が在宅ケアなのです。